モイゼルト
モイゼルト軟膏は、国内で開発された「外用PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害剤」と呼ばれる新しいタイプのアトピー性皮膚炎治療薬(塗り薬)です。
アトピーの皮膚の内部では、「PDE4」という酵素が過剰に働き、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を次々と生み出しています。モイゼルトはこのPDE4の働きをピンポイントでブロックし、皮膚の炎症やかゆみを根本から抑えます。
最大の特徴は、ステロイド外用薬で見られる副作用(皮膚が薄くなる、血管が浮き出るなど)がないことです。さらに、同じ非ステロイド新薬であるコレクチム(生後6ヶ月〜)よりもさらに若い、生後3ヶ月の乳幼児から大人まで安心して使用できる点が大きなメリットです。
モイゼルトの主な効果は、「優れた抗炎症・かゆみ抑制効果」と「赤ちゃんにも使える高い安全性」です。
・確実な炎症の鎮静
定期的に塗布することで、アトピー特有の皮膚の赤み(紅斑)、カサカサ(浸潤・落屑)、掻き壊しによる傷を効果的に改善します。
・デリケートな部位にも安心
吸収率が高くステロイドの副作用が出やすい「顔」や「首」、皮膚の薄い「まぶた」などにも安全に長期間使用することができます。
・ぶり返しの予防(プロアクティブ療法)
症状が良くなった後もモイゼルトを継続的に塗り続けることで、アトピーが再発しにくい健やかでバリア機能の高い肌状態を維持できます。
モイゼルトは、他の新薬(リンヴォックやデュピクセントなど)のような全身治療とは異なり、「局所の湿疹や赤みを安全に狙い撃ちする外用治療」です。同じ非ステロイド外用薬の「コレクチム」が対応していない生後3ヶ月〜6ヶ月未満の赤ちゃんにも使用できる点が、モイゼルトならではの大きな違いです。
| 治療タイプ | 薬剤・治療名 | 対象年齢 | 投与方法・頻度 | 主な特徴と使い分けのポイント |
|---|---|---|---|---|
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局所治療 (塗り薬) |
プロトピック軟膏 |
成人用:16歳以上 小児用:2歳〜15歳 |
毎日 (1日1〜2回) |
非ステロイド性の免疫抑制外用薬。 ステロイドと同等の強い抗炎症効果があり、皮膚が薄くなる副作用がないため顔や首に最適。 使い始めに一過性のヒリヒリ感が出ることがあります。 |
| コレクチム | 生後6ヶ月〜 |
毎日 (1日1〜2回) |
非ステロイドのJAK阻害外用薬。 顔や首など、ステロイドを塗り続けたくないデリケートな部位に最適。 |
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| モイゼルト | 生後3ヶ月〜 |
毎日 (1日2回) |
非ステロイドのPDE4阻害外用薬。 赤ちゃんから使用でき、マイルドに炎症を抑え皮膚を良好に保ちます。 |
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| ブイタマークリーム | 12歳以上 |
毎日 (1日1回) |
2024年に登場した世界初の「AhR活性化剤」という新しい非ステロイド外用薬。 1日1回の塗布でしっかり炎症を抑え、プロトピックのような使い始めの強いヒリヒリ感が 少ないのが特徴。 |
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| ステロイド | 全年齢 |
毎日 (1日に1~2回) |
ステロイド軟膏は強い炎症や激しい痒みを迅速に抑える「火消し役」。 状態が落ち着いた後は保湿剤や非ステロイド免疫抑制薬などへ切り替えてバリア機能を維持するのが基本です。 |
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全身治療 (注射薬) |
デュピクセント | 生後6ヶ月〜 | 2週間に1回 | 最も実績のある生物学的製剤。安全性が高く、赤ちゃんから大人まで幅広く使用可能。 |
| イブグリース | 12歳以上 | 4週間に1回 |
2024年に登場した新しい注射薬。 炎症の主原因(IL-13)を狙い撃ちし、維持期は月1回の投与でOK。 |
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| ミチーガ | 6歳以上 | 4週間に1回 |
かゆみの原因(IL-31)をピンポイントで遮断。 「とにかくかゆみが強い」という方に適しています。 |
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全身治療 (内服薬) |
リンヴォック | 12歳以上 |
毎日 (1日1回) |
効果・即効性ともにトップクラス。とにかく早く強力にかゆみ・湿疹を抑えたい方向け。 |
| オルミエント | 15歳以上 |
毎日 (1日1回) |
リンヴォックと同じJAK阻害薬。症状の程度や患者様の背景に合わせて使い分けます。 | |
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ターゲット照射 (光線療法) |
エキシマライト | 全年齢 | 週1〜2回など |
ナローバンドUVBよりさらに効果の高い紫外線を患部に照射。 頑固な痒疹(ブツブツ)や部分的な強いかゆみに有効。 |
ジュクジュクとした強い炎症がある急性期には、まずステロイド外用薬を適切に使用して一気に炎症を抑えます。その後、症状が落ち着いたタイミングでモイゼルトへ切り替える、あるいは併用することで、ステロイドの長期連用による副作用を上手に回避します。
当院では、お薬の効果を最大限に引き出すため、丁寧な「塗り方指導」を徹底しています。患者様(または保護者様)がご自宅で迷わず正しく塗れるよう、スタッフがサポートいたします。
モイゼルト治療をお考えの方は、東京都国分寺市の恋ヶ窪皮膚科クリニックまでご相談ください。
まずは医師が診察を行い、アトピー性皮膚炎の湿疹の範囲や重症度を確認します。これまでの治療経過やお悩みを伺い、モイゼルト軟膏が最も効果を発揮できる状態かどうかを診断します。
患者様の年齢(成人は1.0%、小児・乳幼児は0.3%または1.0%)に合わせた適切な濃度のモイゼルト軟膏を処方します。院内にて、看護師や医師から、肌を傷つけない優しい塗り方や、1回あたりの適切な使用量(FTU)について丁寧にご説明します。
モイゼルトを使い始めてから、赤みやかゆみがどのように改善したか、皮膚に合っているかを定期的に確認します。特に治療初期は2〜4週間を目安にご来院いただき、肌の経過を医師がチェックします。
肌がきれいになった後もすぐに使用を中止せず、塗る回数を調整しながら維持療法を続けます。これにより、アトピーのぶり返しを防ぎ、バリア機能の高いツルツルの健康な肌を長く保つことができます。
モイゼルト軟膏は、健康保険が適用される医療用医薬品です。
3割負担の方の目安(モイゼルト軟膏0.3% / 1.0% 1本10gあたり): 約400円〜700円前後(※お薬代のみの目安です。診察料や処方箋料が別途かかります)
モイゼルトは安全性の高いお薬ですが、ご使用にあたっては以下の副作用や注意点があります。
・主な副作用
塗った部位の刺激感(チクチク感・ヒリヒリ感)、かゆみ、ニキビ、毛包炎など。
・治療前の注意点
塗る場所に「感染症(とびひ、ヘルペス、水虫など)」がある場合は、感染を悪化させる恐れがあるため使用できません。 まずは感染症の治療を優先します。また、妊娠中・授乳中の方は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用を検討しますので、事前に必ず医師にご相談ください。
青木 馨代(あおき かよ)
| 略歴 |
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2005年3月
金沢医科大学医学部 卒業 2005年4月 昭和大学藤が丘病院 臨床研修 2007年4月 昭和大学病院 皮膚科 院外助教 2011年3月 昭和大学大学院医学研究科医学専攻 卒業 2011年4月 公立昭和病院 皮膚科 2014年4月~ 都内クリニック(複数院) 皮膚科・美容皮膚科 非常勤 2024年5月 恋ヶ窪皮膚科クリニック 院長 |
| 資格 |
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医学博士
日本専門医機構認定皮膚科専門医 |
| 所属学会 |
| 日本皮膚科学会 日本美容皮膚科学会 |
モイゼルトによるアトピー性皮膚炎治療をお考えの方は東京都国分寺市の恋ヶ窪皮膚科クリニックまでご相談ください。
ステロイドは免疫全体を強力に抑えるため、長期間使うと皮膚が薄くなったり、毛細血管が拡大してしまう副作用がありますが、モイゼルトは炎症を引き起こす特定の酵素(PDE4)だけを狙って抑えるため、皮膚が薄くなるような副作用がありません。顔や首などにも長期間、安心して使い続けられる点が大きな違いです。
どちらも非ステロイドの新しいアトピー用塗り薬ですが、お薬の仕組み(作用機序)が異なります。モイゼルトは「PDE4阻害薬」、コレクチムは「JAK阻害薬」です。また、一番の違いは対象年齢で、コレクチムは生後6ヶ月からですが、モイゼルトはさらに若い生後3ヶ月からご使用いただけます。
生後3ヶ月のお子様から安全に使用できることが確認されています。ただし、乳幼児の肌は非常にデリケートですので、強くすり込まずに、優しく乗せるように塗ってください。また、万が一赤みが強くなったり、機嫌が悪くなったりした場合は使用を中止し、当院にご相談ください。
原則として1日2回、朝と入浴後などに患部に塗布します。塗る量の目安は、大人の人差し指の先から第一関節までお薬を出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積に広げるのが基本です。
従来からある非ステロイド薬(プロトピック軟膏など)に比べると、モイゼルトは使い始めの刺激感(ヒリヒリ感)が非常に少ないお薬です。ただし、皮膚のかき傷がひどい場所などに塗ると、一時的に軽い刺激を感じることがあります。症状が落ち着くにつれて刺激感は消えていくことが多いですが、痛みが強い場合は医師にご相談ください。
見た目には皮膚がきれいになっても、皮膚の奥にはまだ見えない炎症が残っています。そこで自己判断ですぐにやめてしまうと、アトピーがすぐにぶり返す原因になります。医師の指示のもと、塗る回数を徐々に減らしていく「プロアクティブ療法」を行うことが、ツルツルの肌を保つ秘訣です。
目の周りのデリケートな皮膚にも安全に使用できます(目の中に入らないようご注意ください)。ただし、浸出液が出ているようなひどいジュクジュクした部位や、かさぶたがあるような激しい急性期の患部には、まずはステロイド外用薬等で落ち着かせてからモイゼルトへ移行するのが一般的です。